Gitとは、ソース管理システムです。プログラムのソースコードの変更履歴やバージョンを管理することができます。
今回は、Gitの特徴を説明し、Gitをインストールしていきます。
Gitの特徴
Gitは、プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するための分散型のバージョン管理システムです。
以前の(集中型)バージョン管理システムは、コードをサーバに置き、リポジトリ(ファイルやディレクトリの状態を記録する場所)を利用する開発者は、特別なアクセス権を与えられて作業します。
ソフトウェア1つにつき、1つのリポジトリとなります。
開発者が複数いる場合は、共同でサーバ上のリポジトリを使用します。
そのため、サーバは常に稼働している必要あり、利用者はネットワークに接続できる必要があります。
また、コードの整合性の維持が大変です。
Gitは、リポジトリを複数持つことができ、開発の形態や規模に合わせてソースコードの管理ができます。
リポジトリを複数用意できるので「分散型」と呼ばれています。
それぞれのリポジトリは、それぞれの開発者が持つローカルマシーンで運用されます。
それぞれの開発者は、プロジェクトの履歴にアクセスでき、別バージョンと比較したり、ブランチを作ったりできます。
Gitのインストール
ここでは、Windowsにインストールします。
Gitのインストールでは、コマンド群とドキュメントが導入されます。そのあと、PATHにgitコマンドが設定されます。
1.gitの公式サイトを開きます。
2.「Download」ボタンをクリックします。
「Git-2.34.1-64-bit.exe」(2021/12/19 時点)がダウンロードされます。
3.実行ファイル(*.exe)をダブルクリックします。
4.ライセンスの確認
Git for Windowsは無料で使用できますが、GNUライセンスへの同意が必要です。
問題なければ「Next」ボタンをクリックします。
5.インストールフォルダの指定
インストールフォルダを指定します。今回はデフォルトのフォルダです。
6.オプションの選択
オプションを選択します。今回はデフォルトの設定です。
項目 | 説明 |
□Additonal icons | |
□On the Desktop | デスクトップにGitアイコンを追加します。 |
■Windows Explorer integration | エクスプローラーの右クリックメニューにGitを起動するためのメニューを追加します。 |
■Git Bash Here | Git Bash(Git用のシェル)が起動します。 |
■Git GUI Here | Git GUI(GUI版のGit)が起動します。 |
■Git LFS (Large File Support) |
Git LFS がインストールされます。 Git は大容量ファイルを扱うのが苦手です。 その欠点を補うために開発されたのが Git LFS です。 インストールすると、「git lfs」 コマンドが使用できるようになります。 |
■Associate .git* configuration files with the default text editor | エクスプローラーで「.git」で始まるGit関連のファイルをダブルクリックすると、テキストエディタが起動するようになります。 |
■Associate .sh files to be run with Bash | エクスプローラーで拡張子が「.sh」のファイルをダブルクリックすると、Git Bashが起動して実行されるようになります。 |
□Check daily for Git for Windows updates | 最新の Git for Windows が公開されたとき、通知されるようになります。 |
□(NEW!)Add a Git Bash Profile to Windows Terminal | Windows Terminal に Git Bash が追加されます。 |
7.スタートメニューにGitを追加します。
スタートメニューにGitを追加しない場合は「Don’t create a Start Menu folder」にチェックを入れます。
8.テキストエディタを選択します。
9.新しいリポジトリを作成したときの、最初のブランチ名を指定します。
項目 | 説明 |
■Let Git decide | デフォルトのブランチ名は「master」です。 |
□Overrride the default branch name for new repositories | デフォルトのブランチ名を、指定したブランチ名に変更します。 |
10.環境変数パスを設定します。
項目 | 説明 |
□Use Git from Git Bash only |
Git を Git Bash でのみ使用する場合に選択します。 PATH が変更されることはありません。 |
■Git from the command line and also from 3rd-party software | Git を DOSプロンプト や PowerShell でも使用する場合に選択します。PATH に次のフォルダが追加されます。 Gitインストール先\Git\cmd |
□Use Git and optional Unix tools from the Windows Command Prompt | DOSプロンプト や PowerShell で Unix のコマンドが使えるようになります。Windows に同名のコマンドがあるため、熟知されている方以外にはお勧めできません。PATH に次のフォルダが追加されます。 Gitインストール先\Git\cmd Gitインストール先\Git\mingw64\bin Gitインストール先\Git\usr\bin |
11.gitでSSHを使って操作するときに、gitの持つOpenSSHを使用するか、外部のOpenSSHを使用するかを選択します。
項目 | 説明 |
■Use bundled OpenSSH | ssh.exe をインストールします。 |
□Use external OpenSSH | ssh.exe をインストールしません。PATH環境変数に ssh.exe のパスが通っている必要があります。 |
12.HTTPSの設定を選択します。
項目 | 説明 |
■Use the OpenSSL library | HTTPS接続の検証にOpenSSLのルート証明書を使用します。 |
□Use the native Windows Secure Channel library | HTTPS接続の検証にWindows証明書ストアのルート証明書を使用します。 Active Directory で管理されている Windowsサーバーや TFSサーバー上の git リポジトリ に接続する際、こちらを選択しないと接続できない場合があります。 |
13.改行コードの設定を選択します。
チェックアウト・コミット時に、改行コードを自動変換するかを設定します。デフォルトでは自動変換がオンになっていますが、今回は自動変換しないを選択します。
Windows環境とUnix環境が混在している場合、デフォルトの「Checkout Windows-style,commit Unix-style line endings」のままでよいです。
項目 | 説明 |
□Checkout Windows-style, commit Unix-style line endings | 改行コードがチェックアウト時に「CR-LF」、コミット時に「LF」に自動変換されます。 |
□Checkout as-is, commit Unix-style line endings | 改行コードがコミット時に「LF」に自動変換されます。 |
■Checkout as-is, commit as-is | 改行コードの自動変換をしません。 |
14.Git Bashで使用するターミナルエミュレータを選択します。
項目 | 説明 |
■Use MinTTY(the default terminal of MSYS2) | MinTTYを使用します。 |
□Use Windows’ default console window | Windowsの標準コンソールを使用します。ConEmuなど別のコンソールを導入している場合もこちらを選択します。 |
15.git pullの設定をします。
項目 | 説明 |
■Default(fast-forward or merge) | 「git pull –ff」 が実行されます。 |
□Rebase | 「git pull –rebase」 が実行されます。 |
□Only ever fast-forard | 「git pull –ff-only」 が実行されます。 |
16.Gitに接続する際にcredential helperを使用するかを選択します。
項目 | 説明 |
■Git Credential Manager | Credential Manager を使用します。 |
□None | Credential helper を使用しません。 |
17.拡張オプションの設定をします。
項目 | 説明 |
■Enable file system caching | Git関連のファイルをキャッシュし、動作を速くします。その代わり、通常よりも多くのメモリーを使用します。 |
□Enable symbolic links | リポジトリ内でシンボリックリンクを使用したい場合にチェックします。 Windowsのシンボリックリンクは Linux系OSと互換性がありません。そのため、Windows版Gitではシンボリックリンクの代わりに、リンク先を記されたテキストファイルが作成されます。チェックをオンにするとテキストファイルではなく、シンボリックリンクが作成されます。 |
18.試験用オプションの設定を選択します。
開発中の機能のため、意図せぬ動作をする場合があります。
項目 | 説明 |
□Enable experimental support for pseudo consoles. | チェックをすると、Git Bash window 上で Python や Node のコンソールプログラムが動作するようになります。 |
□Enable experimental built-in file system monitor. | チェックをすると、ワークツリーに多くのファイルがある場合にGitコマンドが高速化します。Gitのインデックスを更新するGitコマンドは全ファイルの更新日時を確認する必要があります。FSMonitor を使用してファイルを監視することで、全てのファイルを確認する必要が無くなります。 |
19.インストール。
インストールが始まります。
20.インストール完了。
項目 | 説明 |
□Launch Git Bash | Git Bash が起動します。(インストールした場合のみ) |
■View Release Notes | Webブラウザが起動し、Gitの変更履歴が表示されます。 |
21.インストールの確認
コマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行します。
git –version
Gitのバージョンが表示されます。
Gitの初期設定
Gitの初期設定をします。
1.Gitを起動します。
「スタート」→「Git」→「Git Bash」をクリックします。
2.ユーザー名を設定します。
$ git config –global user.name “ユーザ名”
2.設定したユーザー名を確認定します。
$ git config –global user.name
先ほど設定した、ユーザ名(例:Taro Suzuki)が表示されます。
3.メールアドレスを設定します。
$ git config –global user.email ”メールアドレス”
4.メールアドレスを確認します。
$ git config –global user.email
先ほど設定した、メールアドレス(例:taro.suzuki@test.co.jp)が表示されます。
ユーザ名やメールアドレスの設定は、サーバに接続するわけではありません。
これは、自分のPCにインストールしたGitの設定です。
以上でインストールは完了です。
まとめ
Gitの特徴を説明し、Gitをインストールする手順について説明しました。
以上、Gitのインストールでした。